Japanese
English
綜説
心室内の興奮伝播
The Activation Process in the Ventricles
山田 和生
1
,
村木 寛茂
1
Kazuo Yamada
1
,
Hiroshige Muraki
1
1名古屋大学環境医学研究所
1Research Institute of Environmental Medicine, Nagoya University
pp.645-655
発行日 1968年8月15日
Published Date 1968/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201925
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心室興奮伝播過程を知ることは,心電図,ベクトル心電図の解析にきわめて重要であり,かなり多くの報告がある。その研究方法としては,ごく初期の時代には心臓の収縮曲線を記録し,収縮開始の遅速によって興奮の伝わり方を判断しようとした。しかし心臓の電気現象の記録が可能になってからは,興奮伝播過程の研究は大部分が心臓の電気現象を指標にしている。このうち,歴史的に見て重要で価値ある報告としてはLewisら29)によるものがある。彼らは初めて,単極誘導法的な考えを取り入れ,その心室興奮伝播過程に関する報告は長く心電図解析に用いられてきた。しかし興奮到達時間を単極誘導曲線のどの部位と考えるかについては多くの論争があり,最近では理論的な検討から近接双極誘導曲線の主峰の頂を興奮到達時点と考えるのが適当であるとされている。これらの問題については,興味ある幾多の議論があるが,あまりにも専門的すぎるのでここでは述べない。
また,ごく最近では細胞内誘導法の発達により,膜活動電位の急峻な立上りを興奮到着の指標として行なった研究もあるが,技術的な制約からその多くは心房についての研究で,心室についての研究はほとんどない。
以下,心室興奮伝播過程に関する研究のうち,代表的なものについて簡単に述べる。
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