綜説
Bronchoconstriction
滝島 任
1
Tamotsu Takishima
1
1東北大学医学部第一内科
11st Department of Internal Medicine, School of Medicine, Tohoku University
pp.4-14
発行日 1968年1月15日
Published Date 1968/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201856
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いとぐち
Bronchoconstrictionを,気管支壁内に存在する平滑筋の緊張亢進によって招来される気管支内腔の狭窄,すなわち気管支攣縮と考えると,気管支攣縮を定義する必要かつ十分な条件は,平滑筋の緊張亢進と気管支(気道)狭窄の両者である。ところで,平滑筋の緊張が亢進すると気管支狭窄を生ずるかというと,必ずしもそうではない。気管支狭窄をきたすには他にいろいろと複雑な因子群の介在,それらとの相互関係を考慮しなければならないからである。
いま最も簡単に模型化して考えると,図1にみるごとく気道は肺のなかに,肺組織弾性体によってsuspendされた管とみなすことができるであろう。この図から明らかなように,管内径を規定する因子群は,管の内側と外側との間に存在するtransmural pressureと管のコムプライアンスの二者である。平滑筋緊張亢進はこのうち管のコムプライアンス低下をきたし,気道狭窄の原因として重要な因子であるが,後述するように,平滑筋は肺胞道にも存在する。したがって,この部の平滑筋緊張亢進は肺胞のコムプライアンス低下を招来し,trans—mural pressureを増加せしめるから,この方は気道を広げる方向に働く。
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