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講座
肺性危機(2)—麻酔,外科の面から
Acute Pulmonary Insufficiency:from the Standpoint of Anesthesiology and Surgery
諏訪 邦夫
1
Kunio Suwa
1
1東京大学医学部麻酔科
1Department of Anesthesiology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.485-495
発行日 1967年6月15日
Published Date 1967/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201781
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はじめに
一般に肺性危機とは,重篤な症状をもって発現した急性呼吸不全といいかえることもできよう。しかしながら麻酔および外科の分野においては,症状をもって肺性危機を考えていくことは困難である。なぜなら,麻酔・手術中およびその前後の生体機能は,吸入麻酔剤を始めとする各種麻酔剤,筋弛緩剤,前投薬に用いられる薬剤などの薬理作用により,また,出血・組織破壊などの病態生理因子によって大幅な修飾をうけており,古典的基準による呼吸不全症状は著しく抑制されている。したがって,こうした領域において肺性危機というものを症候論的にとらえることは意義が乏しく危険なものである。近年,この分野での病態生理学的研究が進み1)〜3),生理学的指標と臨床症状との隔離が明確にされてくるとともに,病態生理学的把握の必要性が認識されてきた4)。本稿においては,麻酔・手術中およびその前後における一般的な問題として,換気障害,低酸素血症,高炭酸ガス血症の三者を論じ,ついでそれに関連してやや特殊な問題にふれる。本稿中呼吸機能に関する略号は慣用による4)5)。
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