Japanese
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講座
肺性危機(1)CO2 narcosis—内科的立場から
Pulmonary Crisis (1) CO2 narcosis: from the Standpoint of Internal Medicine
長野 準
1
Hitoshi Nagano
1
1九州大学医学部付属胸部疾患研究施設
1Research Institute for the Diseases of Chest, Kyushu University
pp.389-396
発行日 1967年5月15日
Published Date 1967/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201771
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はじめに
1820年HickmanがCO2に麻酔作用のあることを発見し,実験的にも高濃度CO2による意識溷濁,眩暈,頭痛および顔面発汗などの症状発現をみとめていた。その後Waters(1937)のCO2中毒による術中死,Donald(1949)1)の肺気腫患者に対する酸素吸入後の昏睡例の報告,さらにComroe(1950)ら2)の記載があり,1950年代に入ってWestlake3),Sieker4),Austen5)らが,CO2が体内蓄積したときに,これを一つの症候群として扱いCO2 narcosisの概念をはっきりさせた。すなわち肺の機能不全により呼吸性アシドーシスをおこすと,それがやがて精神神経症状や循環器症状を示すようになるが,これをCO2 narcosisまたはCO2 intoxicationと呼ぶのである。この症候群が臨床的には脳症状が前景に出て,慢性肺気腫例によくみられることから,pulmonary encephalopathy6),emphysematous encephalopathy7),肺性脳症8),などとも称されている。
CO2 narcosisは,臨床の立場からあるいは機能の立場から今日までいろいろ定義されてきたが,1964年笹本9)がこれについて一応整理している。
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