肺性心

　肺性心という診断名は，呼吸器疾患患者の病理解剖を行なって，右心室の肥大が明らかとなったときにはじめてつけられるものである．しかし，すでに肺性心を起こしてしまってからでは，治療がひじょうに困難なので，可能なかぎりこれを早期に発見しなければならない．ここに診断上のむずかしい問題がある．また治療上の問題としても，早期治療あるいはむしろ予防に重点がおかれなければならない．以上の諸点から，肺性心の診断および予防は医師だけにまかすわけにはゆかず，広く保健婦あるいはケース・ワーカーの知識にたよるところが多いのである，したがって以下，肺性心に関し，その病因から治療に至るまでの概略をのべることにする．