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特集 肺性脳症
脳循環代謝面よりみた肺性脳症の発生機序
Pulmonary Encephalopathy-from cerebral circulatory and metabolic point of view.
後藤 文男
1,2
1ウェーン大学神経学教室
2慶応大学相沢内科
1Dept. of Neurology, Wayne State University.
2Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University.
pp.635-645
発行日 1964年9月15日
Published Date 1964/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201359
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I.緒言
肺性脳症pulmonary encephalopathyの定義は,未だ各国学者に共通した普遍的な概念として存在しないようである。文字通り解釈すれば,"肺に基因する所の脳症"である。この場合,"肺"を,解剖学的意味に解釈するか,生理学的意味にとるかによつて,その含む内容の広さが異つてくる。然し,多くの場合,肺に解剖学的異常がなくても,機能的な異常がある場合,例えば肥満によるCO2—narcosisは肺性脳症に包含させる傾向にあるようである。従つて,肺性脳症を広義には,"肺の機能異常に基づく脳症",狭義には,"肺の機能不全に基づく脳症"と解釈することが出来る。後者は,一般にCO2—narcosisあるいはCO2—intoxicationとして取扱われている。
著者は,前者の立場,即ち広義に解釈して,呼吸の異常が如何なる機序によつて脳症状を起すに至るかを検討し,焦点を狭義の肺性脳症,即ち,CO2—narcosisにしぼりたいと思う。
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