今月の主題 心不全診療の動向
特異性のある心不全の診断と治療
肺性心
半田 俊之介
1
,
宮森 亮子
1
1慶応義塾大学医学部・内科呼吸循環科
pp.74-75
発行日 1985年1月10日
Published Date 1985/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219582
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心不全は慢性肺性心の終末像である(図).臨床の場では肺性心の心不全は,右心機能の低下による心拍出量の減少ないし心拍出予備能の低下,および右室拡張末期圧,静脈圧の上昇による諸症状として捉えることができる.すなわち易疲労性,労作に伴う動悸,下肢から始まる浮腫などが問題となる他,循環動態,血液ガス異常の増悪に伴う心房性,心室性の不整脈のみられることもある.
肺性心の心不全が特異的な点は,肺性心の原因となっている呼吸器系の疾患の種類により,右心負荷の様相が多様なことである、肺の基本的な3つの機能は換気,ガス交換,および肺循環である.当然のことであるが疾患によって,これらの機能の障害の程度,組み合わせ,可逆性の有無などは異なる.
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