私の経験例
CO2 narcosisで発見されたmyotonic dystrophyの一例
高橋 唯郎
1
1北里大学病院内科
pp.1726
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207495
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患者は39歳の男性.impending CO2 narcosisにて入院.理学的には入院時傾眠状態で呼吸32/minなるも浅く,胸郭のexpansionは極めて不良.頸静脈怒張が著明で四肢では前脛骨陵,足背の浮腫(⧻)と右心不全状態.胸部X線写真では右横隔膜挙上が著しく,心肥大を認めた.ECGは右室負荷を示すも右室肥大所見(-).肺胞低換気(Pco2 84.8mmHg)をきたした原因が当初不明で診断に苦慮した.既往歴に年1,2回くり返す気管支肺炎を認あるも,日常咳喇,喀痰はまったくなく,胸部X線写真でも慢性閉塞性肺疾患を疑わせる所見は(-).呼吸中枢を抑制する薬剤の使用も既往に認めず.CO2 narcosisから離脱後も胸郭のexpansionは依然として悪く,右横隔膜も著しく挙上していることから神経筋疾患を疑った,神経学的には腱反射減弱,握力の著明な低下をみるも四肢筋の筋萎縮(-).既往歴を詳細に聴取し筋力低下を認めたが,眼底状(-).またTensilontest(-)であり重症筋無力症は考えられなかった.たまたまハンマーで叩打した拇指球筋にpercussion myotoniaをみつけ,myotonic dystrophyを考え,諸種検索の結果,確診しえた.本症例は既往に筋力低下を認めたが,心不全による呼吸困難のためと考え問題としなかった.
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