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講座
心性危機(1)CO2 narcosis—内科的立場から
Cardiac Emergency (1) CO2 narcosis: from the Standpoint of Internal Medicine
森 博愛
1
Hiroyoshi Mori
1
1九州大学医学部中央手術部
1Central Operative Division, Kyushu University Medical School
pp.399-405
発行日 1967年5月15日
Published Date 1967/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201772
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はじめに
肺気腫,慢性気管支炎,気管支喘息などの呼吸器疾患が進展すると,肺高血旺圧症をおこし,右室の収縮期性負荷が増強し,いわゆる肺性心をおこすに至る。等しく右室の収縮期性負荷といっても,これらの疾患群の臨床像は,僧帽弁膜症,肺動脈狭窄症などとは著しく異なっている。このような差違は,前者では肺胞低換気によって惹起されるhypercapniaおよび呼吸性acidosisにより,病像が修飾されているためである。肺気腫などの慢性肺疾患が高度になると,意識障害,昏睡,嗜眠などの脳症状が出現することは,古くから知られており,肺性脳症(pulmonary encephalopathy)と呼ばれている。しかしながら,このような症候群の病態生理学的本質は,肺胞低換気にもとづく呼吸性acidosisであるから,同様の病態は肺疾患以外でも,神経筋疾患,胸廓の高度変形,肥満などいろいろの誘因で低換気をきたすさいにもみられる。したがって,これらの症候群を,より広義に解釈し,CO2中毒症候群(CO2 intoxication syndrome)と呼ぶ場合がある。
その重症型として,意識障害などの重篤な精神・神経症状を示す場合は,CO2 narcosisと呼ばれ,近時,発生論および治療面から注目を集めている。
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