巻頭言
老年病学における呼吸と循環
吉川 政己
1
1東京大学医学部老年病科
pp.271
発行日 1967年4月15日
Published Date 1967/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201757
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加齢(エインジング)は生理的過程であり,個体差を示しながらもすべての人に進行し,疾患を意味しない。しかし中高年者の加齢は成長期,成熟期をすでに過ぎた退縮期であり,その本質は適応性の減退で,しばしば疾患を伴いやすい。したがって,具体的な人間を対象とする老年病学の立場では,つねに疾患と生理的老化を同時に考えて診療に当たらねばならない。老化は全身に進行し,しばしば多くの疾患が見出されるので,つねに全身的に観察することが必要であるが,年齢が進むほど,呼吸と循環が基本的な役割を果たしていることは,誰しも気付くことである。
老年者の呼吸器の特徴は,たとえば昨年11月1日金沢で村上会長のもとに行なわれた第8回日本老年医学会総会における,中村 隆教授司会の"老年者の呼吸器"のシンポジウムでよくまとめられているので,いまその紹介を試みたい。
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