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書評「慢性病の管理」
吉川 政己
1
1東大
pp.42
発行日 1968年1月25日
Published Date 1968/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110595
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本書は菅邦夫,日野志郎,名尾良憲の三氏が編集され,十分の臨床経験を積まれ全国の大学や病院でご活躍しておられる41名の方々が分担執筆しておられる.その内容は11章に分かれ,第1章 慢性病の考え方と管理,第2章 循環器疾患,第3章 神経疾患,第4章 呼吸器疾患,第5章 消化器疾患,第6章 腎および泌尿器疾患,第7章 がん,第8章 血液および造血器疾患,第9章 内分泌疾患および代謝障害,第10章 アレルギー疾患,第11章 運動器疾患に分かれている.この表題でもわかるように第1章はいわば総論的な記述で,第2章以下が各器官別に分かれた各論的な記載である.その対象は内科領域の成人病を主体として,第7章でがんを内科医,外科医の立場から総論的にまとめて記載している.他は9つの章に分類された各器官に含まれる多くの内科疾患から重点的に5ないし10種類のいわゆる成人病を選択して,それらについて慢性病としての特徴,頻度,経過,治療,予防,リハビリテーションなどを丁寧に説明している.また内科臨床に関連の深い,眼科の立場からみた高血圧,老人の精神障害,前立腺肥大症,慢性じん麻疹,骨関節疾患等についてはそれぞれ眼科,精神科,泌尿器科,皮膚科,整形外科の専門家に執筆の分担を依頼している.すなわち,種類の多彩な内科疾患の中から慢性病という立場で大胆に疾患の種類を選定し,また関連領域専門家の参加を求めて成人病の診療の坐右の書として役立つように作られている点が本書の第一の特徴である.
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