Japanese
English
特集 酸・塩基平衡
綜説
酸・塩基平衡と臨床
Acid-Base Syndrome
藤本 淳
1
Kiyoshi Fujimoto
1
1大阪府立成人病センター
1Center for Adult Diseases, Osaka
pp.207-214
発行日 1967年3月15日
Published Date 1967/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201749
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
酸・塩基平衡は体液調節の一つであって,体液のPHがある一定のレベル(pH=7.4)に調節される機構に対してつけられた用語である。体液のpHが一定のレベルに維持されるのは,Henderson-Hasselbalchの式が示すように重炭酸塩と炭酸との比率が一定に維持されることによるもので,酸すなわちhydrogen ion donorとしての炭酸と,塩基すなわちhydrogen ion accep—torとしての重炭酸塩との関係が,恒常状態を保とうとするところから酸・塩基平衡と名付けられているのである。一方,重炭酸イオンは電解質の陰イオンとして,NaやKの陽イオンと対応しているので,電解質の点からNaやKの陽イオンが酸でHCO3—やCl—などの陰イオンは塩基である点より,この面からもアシドーシス・アルカローシスが定義されていた。そこで,酸・塩基平衡障害としてまとめるときに,炭酸(H2CO3)やNaなどが酸であり,重炭酸塩やClが塩基であるというように混乱を生じた。このような混乱をさけることが人切で,基本として次の関係を示す。
酸(acid) 塩(base) H2CO3→ H+ +HCO3— hydrogen hydrogen hydrogen ion donor ioll ion acceptor
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.