Japanese
English
綜説
バセドウ心
The Thyroid Heart Disease
松岡 松三
1
,
大山 芳郎
1
Matsuzo Matsuoka
1
,
Yoshiroh Ohyama
1
1新潟大学医学部松岡内科
1The Ist Department of Internal Medicine, Niigata University School of Medicine
pp.1093-1102
発行日 1966年12月15日
Published Date 1966/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201711
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はじめに
甲状腺機能亢進症に種々の心症状をみることは,バセドウ病のMerseburgの3主徴に頻脈がはいっていることからも明らかで,文献によれば,頻脈を除いても心症状が71%にくるといわれ1),さらにその個々の頻度は,動悸が531)−86.52)−89%3),呼吸困難が264)−753)−83.4%2),前胸部痛が12%1)などであり,しかも女性に多いという2)。
1896年Moebiusは「バセドウ病患者は心症状をきたして死亡する」と述べたが5),このように甲状腺機能亢進症に併発した重篤な心臓障害,すなわち反復する発作性ないし恒久性の心房細動や,挾心症,心不全などを,とくにバセドウ病心6)とかthyroid heart disease7) thyrocardiacs8)とか呼んでいる。かかる疾患の存在は1825年Parryの報告を最初として9),古くから注目され,以来これに関しては多数の報告がある。しかもBurchら10)が心筋肥大の8つの主要原因のなかに甲状腺機能異常症を加えていることからわかるように,本症は決してまれな存在ではない。しかし本症の成因,発生機序などについては今日なお十分解明されていない点も少なくない。
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