Japanese
English
綜説
肺のMorphometry
Morphometry of the Lung.
滝沢 敬夫
1
,
諸根 健
1
,
藤本 隆逸
1
,
佐藤 茂
1
Takao Takizawa
1
,
Takeshi Morone
1
,
Ryuitsu Fujimoto
1
,
Shigeru Satoh
1
1東北大学医学部中村内科
1Dept. of Internal Medicine, Tohoku Univerity.
pp.364-370
発行日 1966年5月15日
Published Date 1966/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201586
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I.はじめに
近年における肺生理学の進歩はまことに著しく,一部ではすでに形態的レベルにまで立ち入っての検討が加えられるようになった。一方,肺構造の研究は,従来どちらかといえば顕微鏡的あるいは局所的検索に基づいており,肺を全体として把握する生理学的検索との間にはかなりの距離が感ぜられた。ところが最近,特に慢性肺疾患の病因や病態研究と関連して,構造と機能との歩みよりが強く要望され,形態学も従来の検索方法を脱して巨観的な,そして定量的な検索を行なうことの必要性が強調されるようになった。
もともと,Stephen Halesが初めて肺胞の大きさおよび肺胞壁表面積の計測を行なったのは,1731年にさかのぼるといい,その後も類似の試みが散見されるが,最近Weibel & Gometzによって,肺組織構造の一貫した定量的検索とこれに対する推計的処理とが報告され,肺構造に関する新らしい形態学的モデルが提示されるに及んで,構造と機能との歩みよりは飛躍的にすすめられるようになった。Weibelらの試みとは別個に,本邦でも諏訪によってこの分野の開拓が,とくに換気力学との関連において試みられ,卓越した業績が報告されていることは心強いが,ここではこれら諸家の研究の一端を,私どもの得た2,3の知見をも含めて紹介したいと思う。
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