Japanese
English
診療指針
肺水腫の治療
Treatment of Pulmonary Edema.
友松 達弥
1
Tatsuya Tomomatsu
1
1神戸大学医学部第1内科
1The 1st Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Kobe University.
pp.969-973
発行日 1965年12月15日
Published Date 1965/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201528
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I.序論
肺水腫とは肺において脈管外液の増加した状態ということが出来る。この脈管外液の増加は肺の間質細胞並びにその細胞間隙における水分増加と肺胞内に水分の貯溜する状態とに分けられる。一般に水分の細胞内および細胞間隙に増加した状態は浮腫と呼ばれているが,肺の場合に通常この言葉が使われていないのは肺胞内に水分の貯溜することが特異な病理組織学的病像を形成することによるのであろう。しかし肺胞に液体の滲出をきたす以前に血管外に漏出した液体は肺胞間の組織内に滲出することが電子顕微鏡写真によって確められている。この肺の間質組織間に起こる液体貯溜は体組織に起こる浮腫と同じであるから,これに限って肺浮腫といってもよいかも知れない,即ち肺浮腫の状態からさらに進展して肺水腫となると考えていい。
さてこの肺水腫の成因については議論が多いところであるが,我が国の研究者はこぞってAltschuleの成因分類を引用している。成程肺水腫の発生にはいくつかの成因が関与するであろうが,問題は何がイニシアチブをとり,何が主なる成因であったかということである。肺水腫はまず肺間質に浮腫が発生するのであるから,一般の浮腫発生と全く同じ機構であるに相違ない。即ち肺毛細血管の透過性の亢進による。毛細血管の透過性は毛細血管の単位面積から単位時間中に血管内外の圧勾配の単位圧差について漏出する液量によって測定されている。
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