残気量（2）—体プレチスモグラフィーによる機能的残気量の測定法

Measurement of Functional Residual Capacity by Volume Displacement Body Plethysmograph.

はじめに

　最大の呼出後にさらに肺内に残留しているガス量は残気量（residual volume，RV），正常呼気終末位に肺内に残留する空気の量，即ちfunctioning residualvolumeは機能的残気量（functional residual capacity，FRC）といわれる。RVはFRCより普通のspirometerで測定される呼気予備量（expiratory reserve volume，ERV）を差引くことにより求められるので，ここではFRCを中心に述べることにする。

　肺機能の究極目的は動脈血のpH，O₂—分圧，CO₂—分圧を正常に保つことにあるが，FRCは外気の性状（ガス濃度）の急激な変動に基因する動脈血ガスおよびpHの急変を防ぐ一種の緩衝地帯となっている。もしFRC＝Oならば安静呼気位において動脈血のpH，O_2—分圧，CO₂—分圧は静脈血のそれらに等しくなりてしまうであろう。呼気終末位においても肺内に若干の空気が残っているために呼吸cycleによる動脈血ガス性状（特にO₂）の変動は最小におさえられていることになる。