Japanese
English
装置と方法
乳酸の測定法
Measurement of Lactate in Blood.
鈴木 清
1
,
大島 誠一
1
,
金山 正明
1
,
内田 邦彦
1
Kiyoshi Suzuki
1
,
Seiichi Oshima
1
,
Masaaki Kanayama
1
,
Kunihiko Uchida
1
1東京医科歯科大学医学部第2内科
1The 2nd Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Tokyo Medical & Dental University.
pp.703-707
発行日 1965年9月15日
Published Date 1965/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201492
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はじめに
生体がエネルギーをうるための最も基本的な代謝は組織に貯蔵されているグリコーゲンと血液より供給されるブドウ糖を分解する過程であろう。この代謝過程はグリコーゲンおよびブドウ糖が分解されて乳酸が生成される過程とグリコーゲンおよびブドウ糖の分解によって生じたピルビン酸が完全に酸化されて炭酸ガスと水を生ずる過程があり,前者を嫌気性解糖(glycolysis)とよび,ほとんどすべての組織細胞の細胞質に存在するEmbden-Meyerhof経路の酵素系により触媒される。後者は呼吸(respiration)とよばれ主として細胞のミトコンドリアに存在する酵素系によって触媒される。解糖はその経路において酸素を全く必要としなくて,組織への酸素の供給が十分でない場合の代謝過程である。実際に生体では生理的条件下において,このような代謝過程が行なわれることは少なく,筋肉の運動の際のように急激に消費エネルギーが増加するため糖質の分解が酸素の供給をうわまるような場合にのみ行なわれる。
組織の酸素供給が不足するような条件下では嫌気性解糖の傾向が著しくなり乳酸の生成が進みピルビン酸の酸化,すなわち呼吸は抑制される。このように組織の酸素供給欠乏により乳酸生成が増加する場合には血液中の乳酸も増量する。
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