Japanese
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講座
体液電解質異常の対策(1)
Treatment of Electrolyte Disturbance.
加藤 暎一
1
,
小澤 幸雄
1
Eiichi Kato
1
,
Yukio Ozawa
1
1慶応大学医学部内科学教室
1Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University.
pp.687-694
発行日 1965年9月15日
Published Date 1965/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201490
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はじめに
体液即ち水・電解質の異常は代謝あるいは機能の異常を起こし,また逆に機能あるいは代謝の異常は体液電解質の異常を招来する。したがってすべての疾患の診療に際して,体液電解質バランスへの考慮は忘れることは出来ない。故に体液電解質異常の発生の予防,あるいはその是正は,すべての疾患において,治療の前提条件となる。正しい方向に行なわれた体液是正は抗生物質あるいは副腎皮質steroidより以上の劇的効果をもあらわす場合さえある。例えば体液バランス調節能の巾が狭い小児や老人では,手術の巧拙よりも,手術前,手術后の体液の管理が予后を決定する重要な因子となり得る。
正しい対策の行なわれるためには,休液バランスの生理および病理の理解が必要1)〜8)となる。体液の正常値を記憶したりまた測定値を入手し得ることも必要であるが,我々が実際に最も入手し易い血清濃度は,体液の最小区画のサンプルで,濃度は同時に存在する脱水または溢水により修飾を受ける。例えば血清濃度が正常であっても,Naの欠乏や過剰が存在することは注意を要する。我我の対象はあくまでも患者であり,血清濃度ではない。
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