Japanese
English
原著
放射性クロム酸によるSludgingの測定
Quantitative Determination of Intravascular Sludging with Radioactive Chromium.
田中 孝
1
Takashi Tanaka
1
1東京女子医科大学外科学教室
1Dept. of Surgery, Tokyo Women's Medical College.
pp.307-312
発行日 1965年4月15日
Published Date 1965/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201437
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I.緒言
いわゆる末梢毛細血管領域における血液の循環が,円滑に行なわれていることは,生体の機能が正常に維持されるための必須条件といえる。種々の病的条件,ことに,各種のショック状態,あるいは,体外循環の行なわれたあとで,細小毛細血管における循環障害が生ずることが,明らかにされているが,この変化が,組織の酸素欠乏状態をまねき,代謝性アチドージス,機能障害,さらには死の原因ともなりうるので,近年とくに注目を集めつつある。
細小毛細血管領域における血流の停滞現象,あるいは,sludgingと表現されている変化は,元来,顕微鏡学的観察によって見出されたものであり,Knisely1),Gelin2),Long3)らは,顕微鏡下に詳細な研究を行なったが,この方法では,測定条件として,人為的,外的因子の影響を除くことが困難であり,その判定においても,主観的,非定量的になる欠点を有し,必ずしも満足すべき観察が行なわれない。これに対して,血液に標識を施してその循環状態を測定する方法は,外的な因子に左右されることが少なく,かつ定量的な取扱いも可能である。
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