巻頭言
麻酔と静脈循環
稲本 晃
1
1京都大学医学部麻酔科
pp.167
発行日 1965年3月15日
Published Date 1965/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201420
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循環系の中,静脈系は全血液量の60%以上を保有し,循環血量の大きな貯蔵所の役目をなしながら,僅かな圧差で末梢から中心へ還流している。また心搏出量は心還血量によって定められるから心還血量を促進する機序が,長い間議論の的であった。
静脈循環には,心搏出力のほかに,骨骼筋収縮および緊張,呼吸・重力等の脈管外から加わる影響,自律神経反射,情緒などもこれに変化を与えるので,変化の因子が数多く,しかも臨床的に得られる情報は中心および末梢静脈圧くらいで,静脈循環動態を把握することは困難であった。
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