Japanese
English
方法と装置
われわれの肝循環測定法
A Method for Measurement of Hepatic Circulation.
伊賀 六一
1
,
福田 昌且
1
Rokuichi Iga
1
,
Masakatsu Fukuda
1
1慶応大学医学部石田内科
1Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University.
pp.739-744
発行日 1963年10月15日
Published Date 1963/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201255
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I.はじめに
肝臓は人体の最大の臓器であるにもかかわらず,その病態生理学的研究は,なおその方法論的困難性,および肝自体の構造と機能の複雑性などの理由から,解明の途に着いたばかりであると言わざるを得ないのが現状のように思われる。しかし肝臓のもつ生体に対する意義についての関心は古く,既に1856年Oré1)は家兎で門脈結紮を行い,肝虚血と門脈うつ血の致命性を確め,更に数年後にはClaud Bernardがこれを犬についておこない,3時間後にはほとんどの犬が死亡することを認めている。こうした肝循環の生体にたいする意義はしだいに重要視され,それまでの肝の諸種物質代謝面での研究に加うるに,肝循環動態に関する研究が着手されるようになつた。
肝が他臓器と異なり,流入血管として,肝動脈と門脈の二つの血管系を有することは,当然その各々の,全肝血流量に対する比率を求め,それによつて又,各々の機能的な差異を解明する糸口になるとも考えられたのである。これらは,動物実験に関して,Burton-Opitz(1911)による熱血流計31)2)29)30),或いは,Grindlay3)の直接測定法による肝動脈血流,全肝血流量の測定いらい,種々の方法が考案されて今日にいたつている。
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