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講座
胎児心電図(2)
Fetal Electrocardiography (2)
小林 隆
1
,
武井 徳郎
1
Takashi Kobayashi
1
,
Yoshiro Takei
1
1東京大学産科婦人科学教室
1Gynec. & Obst. Dept., Univ. of Tokyo.
pp.268-275
発行日 1963年4月15日
Published Date 1963/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201196
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I.胎児心電図の対象
胎児は妊娠2ヵ月未以前は人胎児としての外形を整えるに到らず,他の動物のそれと鑑別することは困難である。この時期のものは一般に胎芽Embryoと呼んで胎児Fetusと区別している。鶏卵の胎芽Chick Embryoなどについての心電図の研究もあるが,これらはEmbryonal Electro—cardiographyと称すべきものである。胎児は子宮腔内にあろうと産道内にあろうと又児頭や四肢などが一部娩出されたあとでも,胎児の一部が母体内にある限り新生児とは呼ばない。胎児部分が完全に娩出されたあとでは胎児の附属物である臍帯や胎盤を通じて母体と連絡を保つていても新生児と呼ばれる。新生児には子宮外生活の可能な未熟児,成熟児があるが妊娠8カ月以前の児は呼吸・循環・栄養等の機能が全て未熟であつて子宮外生活は不可能で多く短時間のうちに死亡する。これ等はしばしば特に新生児と呼ばず出生後も胎児と称することが多い。従つてこれ等の胎児を母体外において直接誘導して得られる心電図も胎児心電図と慣習的に呼んでいる。北欧や本邦では人工流産によつて得られた胎児の研究があるが,子宮内胎児心電図研究の重要な資料となつている(Easby 1934,Heard,Burkley,Schaeffer 1936,小国1950,1954,Vara,Niemineva 1951)。
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