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産婦人科領域におけるメディカル・エレクトロニクスの応用--第1回臨床大会シンポジウム
胎児心音心電図
ECG of fetal heart sounds
前田 一雄
1
Kazuo Maeda
1
1九州大学医学部産婦人科学教室
pp.775-782
発行日 1965年10月10日
Published Date 1965/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203342
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はじめに
心音,心電図は,どちらも心臓の活動状況を表現しているが,原理からいえば,それぞれ異なつた種類の物理現象に属している。以前には心音といえば,その字のように,聴診器を伝わつて耳に聞える音波を意味していたのであるが,最近では単に空気中を伝播する音波だけでなく,心臓活動と関係がある身体表面の機械的振動の相当広い範囲が心音研究の対象になつているようである。いずれにしてもこれは機械的な振動であるから,この現象を増巾,記録するためには電気的な変動に変換する心要がある。すなわち,胎児心音の振動を電気的な増巾系統に接続するには,必らず変換器(マイクロホン,ピックアップ)を挿人しなければならない。
これに対して,心電図は心臓起電力を身体外に誘導,記録する方法であるから,身体と増巾器のあいだには変換器を挿入する必要はない。身体表面に直接に電極を接触させ,電極間の電位変動を増巾,記録すればよいわけであつて,一見心音の増巾よりも簡単なように思えるが,その反面,胎児心電図を母体腹壁表面から誘導する場合には,その振巾が甚だ小さいために,後述のような障害をうけやすい。
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