Japanese
English
産科 胎児・新生児
胎児心電図について
Fetal electrocardiogram
小林 隆
1
,
藤井 仁
1
,
武井 徳郎
1
Takashi Kobayashi
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.93-102
発行日 1962年2月10日
Published Date 1962/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202565
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はじめに
胎児心電図の研究は既に今世紀初頭から行われている。最初の報告は1906年Cremer1)によつてなされ,その後引き続いて多くの研究者によつて報告されて来たが,Cremerに始まる初期の研究は2)〜5)弦線電流計の振れを直接記録したもので,子宮内胎児の心活動電流を母体腹壁表面から誘導証明するには種々の困難があり,証明率も悪く実用にならなかつた。しかるに1930年本邦の前川・豊島6)は従来の弦線電流計に真空管増巾器を接続して使用し,胎児心電図の研究の歴史に新時代を開いた。その後の研究は増巾器使用の時期に入り,標準心電計使用7)〜10),更に標準心電計に前置増巾器を結んだり11)〜24),脳波計を使用したり25)〜34)されて来た。又記録器としても陰極線オッシログラフ22)35)や,直記式記録器が登場した。しかし胎児心電図誘導には標準心電計や脳波計の使用の際とは異なる種々の条件が必要であり,胎児心電図記録の専用装置によつて最もよい成績を挙げることが出来るが,最近の電子工学の発展により日常の産科的補助診断として広く臨床に用いられる様になつた33)34)36)。我々も臨床的に実用に供し得る比較的操作の簡単な装置37)〜41)を使用して検査を行い多少の知見を得たので発表し,更に臨床的に興味ある1例を経験したので述べてみたい。
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