Japanese
English
特集 肺循環(1)内科領域
慢性肺性心
Chronic cor pulmonale
笹本 浩
1
,
長嶺 敦夫
2
Hiroshi Sasamoto
1
,
Atsuo Nagamine
2
1慶応大学医学部内科
2慶応大学医学部内科学教室
1Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University.
2Dept. of Internal Medicine, Schcol of Medicine, Keio University.
pp.103-112
発行日 1963年1月15日
Published Date 1963/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201179
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はじめに
肺性心,Cor pulmonale,という診断名は,1935年Mcginn and White1)によつてはじめて教科書に記載された。しかし,慢性肺疾患に右室障害が続発すること,すなわちこの小論において述べる慢性肺性心の存在は,Romberg(1891),August(1892)などによつてもはやくから指摘されていたものである。
Ayerza (1901)は著明なcyanosisを伴なう右室障害患者のあることを指摘して,cardiacos neg—rosと名づけたが,所見の記録がなくその詳細は不明である。Escuerdo(1905)はこのような患者には肺動脈硬化症のあることを認め,Marty(1909)がはじめてこれをAyerza病と呼ぶことを提議した。すなわち,Ayerza病の基本概念は,何らかの原因による肺動脈硬化症があつて,これが右室障害を招来するといらにあり,当然その間に介在する肺高血圧症に関しては,考えられはしたであろうが言及されていない。
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