増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
生理機能検査
肺機能検査
肺拡散能力
小川 浩正
1
,
飛田 渉
1
1東北大学医学部第1内科
pp.848-849
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402910039
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検査の目的・意義
肺拡散能検査は,肺胞から肺毛細血管へのガスの移動の効率を求めるものである.したがって,本来のところ酸素(O2)についての肺拡散能力の測定が行われるべきであるが,理論的,技術的制約のため,一般的には低濃度のCOについての肺拡散能力(DLco)が用いられている.その理由として,一酸化炭素(CO)のヘモグロビンに対する親和性がO2の210倍と極めて大で,低濃度のCO(通常0.3%)で測定が可能であること,また肺毛細管内のCO分圧を0とみなすことができるので肺拡散能力の算出が容易なこと,があげられる.
DLcoは,DLco=〔1分間に肺毛細血管膜を通って拡散するCO量(ml/min)〕/〔平均肺胞気CO分圧(mmHg)〕で示され,1mmHgのガス分圧差があるとき1分間に移動したCO量とされる.肺拡散能力の測定であるが,臨床的には主に単一呼吸法で行われている.これは,COを含む混合ガスを残気量位から最大吸気位まで1回吸入させ,10秒間息こらえさせた後,できるだけ速く呼出させて,その呼気ガス内のCO濃度を測定して,CO拡散量を測定するものである(この際,呼気の最初の750mlは,気道死腔として捨てる).
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