Japanese
English
原著
収縮性心膜炎の心電図と手術成績
Electrocardiogram and Surgical Results of Constrictive Pericarditis
佐藤 文雄
1
,
常本 実
1
,
古田 昭一
1
,
野口 輝彦
1
,
長谷川 嗣夫
1
,
三枝 正裕
1
Fumio Sato
1
,
Minoru Tsunemoto
1
,
Shoichi Furuta
1
,
Teruhiko Noguchi
1
,
Tsuguo Hasegawa
1
,
Masahiro Saigusa
1
1東京大学木本外科
1Department of Surgery, Tokyo University School of Medicine.
pp.711-718
発行日 1962年10月15日
Published Date 1962/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201145
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I.はじめに
収縮性心膜炎は手術的に心膜を切除することにより,著明な症状の改善を期待し得る心疾患であるが,一方その手術成績は現在までのところ必ずしもきわめて良好であるとはいい難い。諸家の報告をみてもBlalock等1)は19例に手術治療を行い,そのうち4例(21%)に早期死亡をみ,また後期死亡の3例を加えると19例中7例(37%)の死亡をみている。Holman等2)は自験例では9例中1例(11%)の死亡をみているにすぎないが,彼等が検討した報告例265例についてみると,術中死亡22例,術後早期死亡48例で計70例(26.4%)の死亡を報告している。Evans等3)は30例に心膜切除を行い,そのうち5例(16.7%)の死亡を報告し,Cooley等4)は72例の手術のうち27例(37.5%)が死亡し,そのうち14例(19%)が入院中の死亡で,その他の13例は後期死亡であつたと発表している。Stojanovic5)は65例に手術を行い14例(21.5%)の死亡をみ,またEffler6)は26例中入院中の死亡2例,後期死亡7例で計9例(35%)の死亡を報告している。
木本外科教室においては昭和27年5月より昭和36年8月までの間に36例の収縮性心膜炎の手術を行つたが,そのうち9例(25%)が手術後早期に死亡し,術後2ヵ月で死亡した1例を加えて合計10例(28%)の死亡をみている。
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