特集 ストーン・ウォーズ 果てしなき“石”と医師との闘い
【疾患別各論〜レアな疾患群】
❿収縮性心膜炎(心膜石灰化)
坂口 拓夢
1
1高松赤十字病院 感染症内科
キーワード:
収縮性心膜炎
,
心膜石灰化
,
心膜切除術
Keyword:
収縮性心膜炎
,
心膜石灰化
,
心膜切除術
pp.916-917
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204941
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CASE
患者:71歳、男性。
既往歴:高血圧症、脂質異常症、2型糖尿病。
現病歴:5カ月前より労作時呼吸苦が出現。3カ月前に健康診断で胸腹水、心嚢液貯留、全身性浮腫を指摘され、他院を受診。精査したものの原因は特定されず、利尿薬内服で改善傾向となり、近医へ逆紹介となった。症状は軽快したため2週間前より利尿薬が中止となったが、その後徐々に労作時呼吸苦が増悪、胸水貯留も出現したため、総合内科を紹介受診となった。身体所見上、頸静脈の怒張、両側下腿に圧痕性浮腫を認め、CT検査(図1)では右胸水貯留と心膜のびまん性肥厚が認められたが、心拡大は認められなかった。経胸壁心エコーでは収縮能低下や壁肥厚は認められなかったものの、僧帽弁輪中隔側の組織ドプラ(medial septal e')≧9cm/s、僧帽弁輪中隔側と側壁側の組織ドプラの比(medial e'/lateral e')≧0.91、呼気時の拡張期の逆行性肝静脈流速/順行性肝静脈流速≧0.79などの収縮性心膜炎を疑うドプラエコー所見が認められ、確定診断のため心臓カテーテル検査を実施することとなった。
心臓カテーテル検査(図2)では、dip and plateau、右室拡張末期圧と左室拡張末期圧の差の縮小、右室拡張末期圧の上昇(右室収縮期圧の1/3以上)などの収縮性心膜炎を示す所見が認められたため、慢性収縮性心膜炎と診断した。利尿薬の増量で経過を見ていたが、症状の改善乏しく、心膜切除術を実施することとなった。心膜の病理検査では、心膜の肥厚と線維化・硝子化を認め、収縮性心膜炎所見と合致した。術後は体重の減少、労作時呼吸苦の改善を認めている。
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