Japanese
English
綜説
ポリオによる呼吸麻痺,その病態生理について
Respiratory insufficiency in poliomyelitic patients
横山 哲朗
1
Tetsuro Yokoyama
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
1Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University.
pp.232-241
発行日 1961年4月15日
Published Date 1961/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200968
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I.はじめに
19世紀以来欧米諸国においては「ポリオ」は癌とともに「恐ろしい病」の双壁として人々に恐れられてきた。ことに多くの幼ない生命を奪い,前途有意な人材を不具に陥れるこの病気の克服には多くの医学者,臨床医が協力して努力を傾注してきたばかりでなく,国家も一般市民も経済的協力を惜しまなかつたことは特筆に値しよう。その研究の成果は予防に,治療にあらゆる分野にわたっているが,「ポリオ」による死亡原因の中でも最も重大と考えられている肺不全に関する知見とその治療に関する研究もその例外ではない。
BlossomとAffeldt(1956)も病態生理の解明と臨床治療の進歩により死亡率が減少しつつあり,気管切開と補助呼吸を必要とする重症例のみについてみても数年前までは50〜75%であつた死亡率を13〜50%,平均20%にまでも低下させることがでぎたとのべている。またLassenら(1953)は1952年のCopenhagenにおける流行の際呼吸不全のあるものの死亡率がはじめの頃には87%であつたが,その流行の終りには22%にすることができたという。これにつづく1953年のStockholmにおける流行についてみても「ポリオ」による肺不全に関する研究分野で基礎生理学者と臨床医との美事な協力のあつたことを報告を読むにつけても感じられる。
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