連載 病原微生物・見方をかえたら・7
ポリオウイルスなど
益田 昭吾
1
1東京慈恵会医科大学
pp.855
発行日 1996年10月25日
Published Date 1996/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901474
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病原体が宿主から宿主へと伝染していく様式は,宿主の生理的活動に全面的に依存しています.病原体が,体液や血液を吸引する習性を有する生物によって媒介される場合でも,病原体が独自の移動手段を備えているわけではありません.また宿主がヒトの場合には,人間独特の生活様式が問題となる場合もよくあります.たとえば飲料水の水源が汚染されていることによるコレラの流行や,過密状態の通勤などが原因となるインフルエンザの流行などの場合です.しかしこのようなヒト独特の活動が問題となる場合でも,基本的には個々の宿主の生理学的活動が根本には存在していると考えられます.
たとえば消化器伝染病の場合,病原体は食物や飲料水などと一緒に宿主の口から入って消化管内で増殖した後,糞便と一緒に肛門から出ていきます.呼吸器伝染病の場合には入口と出口とは共通ですが,やはり病原体は吸気と一緒に肺に取り込まれ,気道につながるどこかで増殖した後,呼気とともに,あるいは気道の分泌物などと混在して出ていくことになります.
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