Japanese
English
TOPICS 糖尿病・内分泌代謝学
ポリオール経路の生理機能
Physiological roles of the polyol pathway
佐野 浩子
1
Hiroko SANO
1
1久留米大学分子生命科学研究所遺伝情報研究部門
pp.683-684
発行日 2023年5月13日
Published Date 2023/5/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28507683
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研究の背景
ヒトを含む動物の栄養摂取には変動があるため,細胞は常に栄養摂取状態を読み取り,代謝調節系に伝達することにより代謝恒常性を保っている.ヒトの主要なエネルギー源であるグルコースはいくつかのメカニズムにより感知されるが,MondoAおよびそのパラログであるCarbohydrate response element-binding protein(ChREBP)転写因子による細胞内糖感知は,進化的に保存されたメカニズムのひとつである.MondoA/ChREBPはグルコース存在下で活性化され,多くの代謝関連遺伝子の発現を制御することにより,グルコースからのエネルギー産生と貯蔵のバランスをとっている1).MondoA/ChREBPを欠損したマウスが通常レベルの糖質の摂取により致死となることは,このシステムの重要性を示している2).MondoA/ChREBPはグルコース-6-リン酸などの解糖系代謝産物によって活性化されることが報告されていた1).しかし,生命維持に直結する解糖系には貯蔵糖による緩衝作用や下流代謝産物によるフィードバック制御が備わっており,解糖系代謝産物は細胞内グルコース変動をかならずしも反映しない可能性が考えられる.また,MondoA/ChREBP活性化機構の解析には主に培養細胞が使われており,in vivoモデルを用いた研究はほとんど行われていなかった.
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