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心音図シンポジウム
僧帽弁狭窄の術前,術後の心音図の変化—特にQ−1時間,2—OS間隔について
Phonocardiographic Changes of Mitral Stenosis Before and After the Operation:Special Reference to Q-1 and 2-OS Intervals.
渋谷 実
1
Minoru Shibuya
1
1東京女子医科大学心臓血圧研究所
1The Heart Institute, Tokyo Women's Medical College.
pp.631-637
発行日 1960年9月15日
Published Date 1960/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200920
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I.序論
僧帽弁狭窄症の心音図の特徴は第1音の強盛,Q−1音時間の延長,開放音の存在及びそれに続く拡張中期雑音である。僧帽弁狭窄が強くなるとQ−1音時間は延長し,2音—開放音間隔が短かくなる。調律が洞調律である時は拡張中期雑音は前収縮期強盛を伴うが(第1図),徐脈になり拡張期が延長すると前収縮期強盛は消失し,Q−1音時間も2音—開放音間隔も変化し弁口の大きさの推定を誤ることがある。心房細動に移行するとQ−1音時間,2音—開放音間隔(以下Q−1時間,2—OS間隔とする)は前行するR-R間隔,即ち前行の拡張期の長さによつて変化する(第2図)。又拡張中期雑音の前収縮期強盛は消失して拡張中期雑音のみとなる。
従来Q−1時間,2—OS間隔及び(Q−1)—(2—OS)値によつて僧帽弁狭窄の程度乃至左房圧の上昇度を推定し得るといわれているが,我々は実際に手術前に心音図から弁口の大きさを予測して屡々手術時所見と一致しない症例を経験する。特にQ−1時間の延長している症例で,見掛上の弁口は狭く思われるのであるが,実際には狭窄がそれ程でもなかつたことが屡々ある。著者は弁口の大きさ乃至左房圧の推定に何が最も信頼度が高いか,又何がこの様な不一致を招くのであるかに就いて,従来いわれて来たことをQ−1時間,2—OS間隔,(Q−1)—(2—OS)値について再検討してみた。
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