Japanese
English
方法と装置
脳の刺激実験方法—循環機能研究への応用
Experimental method of stimulation of cardiovascular center in brain.
川村 浩
1
H. Kawamura
1
1東京大学医学部脳研究所
1Laboratory of Neurophysiology, Institute of Brain-Research, School of Medicine, University of Tokyo.
pp.443-448
発行日 1960年6月15日
Published Date 1960/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200901
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
脳を刺激してその影饗を観察する方法は,破壊実験とならんで脳生理学研究のもつとも古典的な実験法であり,循環機能にたいする中枢の機序を研究するためにも今日ますます広く用いられてきている。
中枢の刺激法としては,穿刺などのような機械的刺激,化学物質を注入する化学的刺激,電極をさしこんで電流を通ずる電気的刺激がもつともしばしば用いられてきた。しかし前の二つは刺激の強さや刺激時間の調節が困難であり,また化学的刺激では周囲の組織にたいする圧迫や滲透圧など物理的因子も加わつてくるので,今日では特殊な場合をのぞいてはもつぱら電気的刺激が用いられている。Hess1)やRanson2)が循環その他の自律機能にたいする視床下部の意義を明らかにした実験は,電気的刺激の応用にもとづくものであり,近年,大脳辺縁系の自律機能統合作用に関する知見が急速に進歩しているのも,電気的刺激実験の業績に負うところが甚だ大きい。本稿では脳の中枢を電気的に刺激する実験で考慮すべき二,三の問題について述べさせていただき,御批判を仰ぐことにしたい。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.