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特集 大脳辺縁系
大脳辺縁系に対する視床下部の賦活作用
ROLE OF THE HYPOTHALAMUS IN THE BRAIN STEM ACTIVATING SYSTEM
川村 浩
1
,
中村 嘉男
2
,
時実 利彦
2
H. Kawamura
1
,
Y. Nakamura
2
,
T. Tokizane
2
1横浜市大医学部第2生理
2東京大学脳研 生理
12nd Dept. of Physiology, School of Medicine, Yokohama University
2Laboratory of Neuro physiology, Institute of Brain Research, Faculty of Medicine University of Tokyo
pp.857-861
発行日 1961年11月1日
Published Date 1961/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201139
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脳の電気的活動パタンのうち,新・旧・古皮質は,それぞれ特異的な脳波パタンを示し,それらの変化の様相は,きわめて明瞭であつて,脳活動の有力な指標とすることができる。皮質下核のパタンは一般に,それと密接な関係をもつ皮質のパタンとよく類似し,その動き方もほとんど同様である。たとえば視床,尾状核の脳波パタンは新皮質の一定領域のパタンとよく似ており,扁桃核はその表面を蔽う梨状葉(旧皮質)のパタンとほとんど同様である。したがつて新・旧・古皮質とそれらに対応する皮質下核とを,脳波的にみた三つの機能系と考え,それぞれ新・旧・古皮質系とよぶことにする。
新・旧・古皮質系の脳波パタンは,動物が睡眠と覚醒とのあいだの種々な状態をとるのに応じて一定の対応関係を示しながら変化する。これらの変化の様相を私たちは,慢性実験での行動の変化に対応させて,もつとも定型的な覚醒,低水準賦活(lower level activation)まどろみ,睡眠,深麻酔の五段階にわけた。この分類のなかには薬物を与えるなどの条件でなければあらわれにくいものを含んでいるが,動物の状態が大巾に変る可能性をもつ急性実験では,動物の種々な状態をあらわすのに上のような分類が便利であると考えている。
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