Japanese
English
原著
人為心動停止法に関する研究
Studies on the Induced Cardiac Arrest with Potassium Citrate
中村 和雄
1
Kazuo Nakamura
1
1東京大学医学部木本外科教室
1Dept. of Surgery, School of Medicine, Univ. of Tokyo
pp.937-958
発行日 1959年10月15日
Published Date 1959/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200827
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I.緒言
心臓外科の発達に従つて,人工心肺装置による直視下心臓内手術は,臨床的に広く実施されているが,さらに複雑な心内操作を静止した無血手術野下に行うことはすべての心臓外科医の希望であり,夢である。1955年Melrose1)はカリウムイオンが心搏動を可逆性に停止せしめ得るというRinger2)の実験にもとづき,灌流心臓及び人工心肺灌流下の犬の心臓についてクエン酸カリウムを用い,人為的な心搏動の停止とその蘇生とに成功し,1956年Effler3)ははじめてこの方法を臨床例に応用し,人工心肺人為心動停止下に心室中隔欠損の縫合閉鎖に成功した。又一方Lam4)は1955年低体温下に塩化カリウムによる心動停止法を行い,心マツサージとカウンターシヨツクとによつて蘇生せしめ得ることを報告し,さらに心動停止剤としてアセチールコリンを用いて実験5)を重ね,人工心肺による体外循環とアセチールコリンによる人為心動停止法6)7)8)9)とを併用して多数の臨床例に成功をおさめた。
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