文献抄録
人為的血栓形成による腎腺癌の治療
pp.21
発行日 1974年1月20日
Published Date 1974/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201743
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腎癌の広範な転移巣は,原発病巣が壊死に陥ると退行性変化を示すこと(Nalder 1971),あるいは腎腺癌はその50%の例に特異的な免疫反応を示すこと(Stjeruswärd 1970)も諸家により報告されている。もし腎腺癌の原発巣の大部分を壊死にさせると,転移巣に対する免疫学的作用も促進させることが考えられる。著者らは動物実験で簡単な手段で腎循還の栓塞をおこさせて,腎実質を広範に壊死に陥らせることに成功したので,この方法により,人体の腎腫瘍を縮少させ,腎摘出を容易にしかつ不慮の腎出血をなくすことを目的に臨床的に応用した。
著者は19例の腎腺癌の症例について試みている。その方法は2cm立方の筋組織片を患者から無菌的に切除して,これを粉砕し,数mlの生食水に浮游させ,60%造影剤と共に15〜20mlの総量として腎動脈より注入する。症例の11例については30%糖液10〜20mlを追加注入した。症例19例中手術可能な9例は注入後10日から42日の間に腎摘出を施行して,諸種の検査を行なつた。19例の腎癌中11例に肺,骨,腔などに転移巣を認めていた。
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