文献抄録
「肺 その構造」下巻,他
西村 秀雄
1
1京都大学
pp.853
発行日 1958年10月15日
Published Date 1958/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200687
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茲に練達の胸部外科学者たる長石教授と其協力者との筆になる「肺,その構造,下巻」が出版され,最も新しい且浩瀚な肺の形態に関するモノグラフとしての使命を尽し,其真価を完全に発揮し得る事となつた。
之はA4版総アート326頁の充実した高級な学術書であり,其内容には肺のリンパ系の篇として気道壁からの吸収,肺のリンパ管,同リンパ組織,次篇たる肺の神経系としては研究史の概要,肺の神経系の概観,肺の神経支配,肋膜の神経支配,更に之に次ぐ肺の筋系の篇には研究史の概要,著者等の用いた研究材料及び研究方法,気管,気管支壁の筋呼吸細気管支より末梢部の筋,肺の間質及び肺肋膜の筋組織学的所見から見た肺の筋系の機能,最後の肺肋膜の篇には其構成及び分類,其各層の組織像の諸問題が取扱われ,各篇それぞれ担当者別に論ぜられている。自家の研究の成果を中心として形態学上のあらゆる研究方法を以て行われた内外の業績が立入つて検討されつゝ,順序よく織り込まれ,綜説の集大成というべき形をとつている。又自家に関わる三百数十枚の鮮明な,且充分な大きさの,又一部は彩色された挿図が驚くべく行き届いて配置されて居り,必要に依り理解を助ける為の模式図が添えられているという親切な考慮が払われている。
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