Japanese
English
綜説
ガラス電極による血液及び循環血のpH測定とその呼吸生理学への応用
pH determination of a blood sample and the circulating blood by glass electrodes and its application to the physiological research of respiration.
斎藤 幸一郎
1
Koichiro Saito
1
1金沢大学医学部第1生理学教室
11st Dept. of Physiology, School of Medicine, Kanazawa University.
pp.364-370
発行日 1958年5月15日
Published Date 1958/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200625
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I.緒論
全身の細胞をとりまく細胞外液と直接交通する血漿のpH,即ち血液のpHが生体の諸機能に大きな影響を及ぼすことは周知のことである。血液pHの正常値は7.4で,7.3〜7.5の範囲を出ることは比較的稀である。このように血液pHが狭い範囲内に保持されている事実は,血液pHの調整が生体にとつて極めて重要であることを物語ると共に,又血液pHを厳密に調整する機構が生体に具つていることを示すものである。このpH調整機構の精度が±0.01pH程度の優れたものであることは,後述の血液pH連続測定の成績から推測される。即ち安静時の血液pHには0.02pH程度の振幅の小さい動揺が現れることがあつても一定の水準を維持するものである。
故に血液pHを測定する場合には,少くともこれと同程度の精度をもつた方法を用うることが望ましい。それには近年著しく普及したガラス電極法が最も適当している。従来血液pH測定用の色々な型のガラス電極が考案され1)2)3)4),既に広く実用に供せられているが,著者はここに吾々の教室で考案したガラス電極及び循環動脈血用ガラス電極と,これを用いた2〜3の呼吸生理の実験の成績のあらましを紹介し,御批判を仰ぎ度いと思う。
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