Japanese
English
特集 肺水腫
綜説
術後急性肺水腫の発生病理並びにその病態生理
Pathogenesis and Pathological Physiology of Postoperative Acute Pulmonary Edema
脇坂 順一
1
Junichi Wakizaka
1
1久留米大学医学部脇坂外科
1The First Department of Surgery, Kurume University School of Medicine
pp.148-169
発行日 1958年3月15日
Published Date 1958/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200598
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I.はじめに
近代医学の輝しい成果は,常に悲しい而も尊い数々の犠牲によつて築き上げられて来たと言つても決して過言ではない。即ち,肺外科,食道外科,縦隔外科,更に心臓外科と,近年胸部外科領域に於ける発達は真に刮目に値するものがあるが,反面,その蔭に多くの尊い犠牲と,これを克服しようとする医学徒の真摯な努力が続けられている事も又忘れる事は出来ない。
術後急性肺水腫は,主にこれ等胸部手術に合併する極めて悲惨な合併症の1つであり,近時とみに諸家の注目を集めている事も故無き事ではない。然し,本症が実際の臨床上には極めて急速な,而も重篤な経過を辿る事や,本症の発生に関与すると考えられる因子が余りにも複雑である事等の為,その発生機序に関しても不明な点が多く,更に実験方法の違い等によつて,種々の点で諸家の間に必ずしも意見の一致をみてない現状であり,今後,予防,治療面の研究と共に,解明すべき数多くの問題を内蔵している。
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