Japanese
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綜説
アイソトープによる末梢血行の研究
A Study on peripheral circulation by radioactive Isotop
橋本 義雄
1
,
神谷 喜作
1
,
熊沢 敦
1
,
日江井 宏
1
Yoshio HASHIMOTO
1
1名古屋大学医学部第一外科
1Department of Surgery, Nagoya Universit School of medicine
pp.588-598
発行日 1957年9月15日
Published Date 1957/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200528
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Ⅰ緒言
ここで末梢血行というのは主として四肢の血行を意味する。厳密に言えば脳の血行も,冠血行も末梢血行と見做すべきであろうが一般に末梢血行と言えば四肢の血行をさすものである。
さて四肢の血行状態を知る力法は種々あるが夫々血行状態をある一方向から観察して全般を察知するわけであるからどの方法が一番すぐれているというわけのものでなく,夫々一長一短がある。要は簡単で患者に苦痛を与えず,しかも繰返し行うことの出来る方法がのぞましいわけである。従来行われている方法は 1)血圧測定
2)皮膚温度測定
3)脈波の描記
4)カロリー測定
5)血管造影法
6)毛細血管観察
等である。血圧,圧脈波は脈搏をふれない場合は測定不能である。容積脈波,光電容積脈波等はそういう制限をうけないが脈波の分析に未だ不明の点が多い。皮膚温度測定は熱電錘により行われるが皮膚の温度が即ち血行をあらおすものでない点からその解釈に自ら制限をうける。カロリメトリーは指の血行の全般を一括把握しうる理論であるが余り実用化されていない。血管造影,毛細血管観察は形態学的に血行をとらえるのであるが形態より機能を察することは一般に危険である。これらの諸欠点を補つてしかも簡単なよい方法を求めていたところ,アイソトープの入手が可能となつたので早速これを応用してみた。以下現在まで我々が行つて来たアイソトープによる末梢血行の研究の概要をのべる。
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