特集 原子力と公衆衛生
綜説
アイソトープの医学研究への応用
三浦 義彰
1
1東京大学医学部衛生看護学科
pp.39-45
発行日 1956年6月15日
Published Date 1956/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201693
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I.まえおき
治療面を除いてアイソトープの医学研究への応用といえば,主としてアイソトープを標識(Tracer)としてある化合物の代謝を追跡する場合が多い。
生体を構成する元素は多数に上るが,その主なものはC,H,O,N,P,Ca,Na,K,Fe,I,Znなどであつて幸いにいずれも放射性あるいは非放射性のアイソトープが存在している。これらのアイソトープを代謝研究に用いる利点は反応がほとんど生理的に行われ,アイソトープを用いたために特に正常の状態と異ることがない点であろう。今世紀の初めにKnoopがフエニル基をつけた脂肪酸を合成してイヌに食わせて脂肪酸のβ酸化説をみごとに打樹てたが,彼の説はフエニル脂肪酸が生理的なものでないという理由で長く論議の的となり承認されなかつた。
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