Japanese
English
症例
重複上空静脈を伴う心房中隔欠損症の1例
A case of the atrial septal defect with the bilateral superior vena cava
木下 康民
1
,
荒井 奥弘
1
,
島田 静也
1
,
亀山 久雄
1
,
片桐 泰正
1
,
葛西 喜寿雄
1
,
倉茂 周和
1
,
横山 芳郎
1
,
堀川 隆助
1
Kinoshita Yasutami
1
1新潟大学医学部桂内科教室
1Dept. of Internal Medicine, Niigata University school of Medicine
pp.502-506
発行日 1957年7月15日
Published Date 1957/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200516
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緒 言
重複上空静脈に関しては,剖検記録として1850年Marchall1)が1641年来の蒐集による31例の報告を行つて以来,幾多の学者によつて記載されており,我国でも1897年三浦2)の発表以来,多くの報告がみられ,最近には青木25)の報告もある。近年心内静脈カテーテル,心血管造影法の応用及び心臓外科の発達に伴い,1944年Castellanos3),4)が臨牀第一例を発見以来しばしば見出される様になり,我国でも半沢5),田口6),7),杉江8),藤本9)により報告されている。
本畸形の存在それ自身は必ずしも生体に特別障碍を及ぼす事はなく,其の存在はかなり高率で,日本人屍体の系統的観察に於て山田10)は胎児及び初生児屍125体中に2例,安達11)は821体中に4例認めている。又他の心脈管崎形と合併する率も多く,Albott12)によると左上空静脈を有する36例中27例に他の心脈管系畸形が存在したという。この様に脈管発生学的にも興味ある問題を含むと同時に,Campbell13)によれば,部分的内臓転位症例の40%に本畸形が合併するという事からして,臓器発生の偏側性という面にも多くの問題を提起するものと思われる。
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