Japanese
English
診療指針
脳出血後遺症の治療—特に低周波脊髄通電法に就いて
Therapy of Seguelae of Cerebral hemorrhage.
田坂 定孝
1
,
大牟礼 一雄
1
,
牧野 一郎
1
Sadataka TASAKA
1
1東京大学医学部田坂内科
1Department of Internal Medicine, School of Medlcine, Tokyo University
pp.87-91
発行日 1957年2月15日
Published Date 1957/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200462
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脳出血は脳の器質的疾患のうち最もしばしばみられるものであつて,その根本的な原因は高血圧と血管の脆弱性であり,多くは内嚢を破壊するために半身の運動麻痺を起す。その他出血の部位により感覚麻痺,失語症,半盲症,精神障碍などの病巣症状を伴うことがある。これらの後遺症の治療にあたつては高血圧,動脉硬化などに対する原因療法を行い,脳出血の再発を予防することが先ず必要であるが,こゝでは脳出血に殆んど必発する運動麻痺の治療を中心として,とくに私共が最近発表した低周波脊髄通電法について述べる。
脳出血後遺症の治療は主として対症的であるが,従来の古典的な対症療法の中にも根気よく行えば相当の効果を期待できるものもある。出血の程度または部位によつて麻痺の程度もいろいろであり,何ら治療を行わなくても完全に恢復するものから,これらの治療を行つても殆ど回復がみられないものも多い。従つて出血の程度,発作からの経過によつて適切な治療法を撰択することが必要である。しかしかゝる欠落症状を完全に除くことは困難な場合が多いのであるが,残された能力を最大限に引き出して,できうる限り回復率を高めるために努力しなければならない。後述の低周波脊髄通電法は従来の治療法では恢復不能であつたものにも奏効することが多い。
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