Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
緒 言
我々は肺に於ける拡散(ガス交換)の様相を明かにする一つの方法として,気・液二相間の拡散に於けるDouble-Film Theory (二重境膜説)を応用し,これによつて肺のガス拡散度を計算する理論式を誘導して,既に本誌1)に発表した。そして此の様にして求められた拡散度を用い,種々の臨床成績をも解釈しようと試みて居る。勿論人を含む生体に於て,その拡散現象を純粋に物理学的に取扱うことの当否,或いはその実際上の困難さ等に就いては,既に簡単に触れて置いたし,又多くの研究者によつてそれに対する幾つかの解決策の公けにされて居ることも,衆知の如くである。そしてかかる理論式がどの程度忠実に,現実の生物現象の説明を為し遂げて居るかは,結局此の理論式によつて導かれたデータが,それぞれの生理学的若しくは病態生理学的状態と如何に合理的に一致するかを検討することによつて知られるであろう。其の意味に於て,著者は上述の理論式を実際に人に於て適用して得られた成績を基に,これと他の心肺機能諸因子との間の関係其他を通じて,臨床的に一般的検討を行い,更にはその臨床的応用の一例として,或種疾患に於ける拡散障碍の程度に就ても少しく言及して見たいと思う。
A theoretical formula about pulmonary diffusion derived from double-film theory was previously presented by us. In this report, the clinical validity of this formula has been reviewed in connection with other factors of cardio-pulmonary function, and as an example of its application,disturbance of gas exchange in pulmonary tuberculosis has been discussed.
Data being obtained from this formula were well in accord with some other lndexes of diffusing cap-acity,such as alveolo-arterial O2 tension difference or arterial blood O2 saturation.
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.