増刊号 呼吸機能検査 BASIC and PRACTICE
Part2 臨床に直結する検査の進め方
肺拡散能の測定
大久保 輝男
1
1埼玉県立循環器・呼吸器病センター検査技術部
pp.1178-1183
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201388
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検査の概要
肺の主な役割は,吸入した空気の酸素を血液中に取り込むことです.そのためには換気によって酸素を肺内に取り入れ,肺胞では物理的現象である拡散によって酸素が肺胞毛細管膜を通過し,血液中に取り込まれます.肺拡散能とは,この肺胞から肺毛細血管内への酸素取り込み能力の指標です.拡散の過程には4つの段階があります.①肺胞毛細管膜の通過,②血漿中の拡散,③赤血球膜の通過,④ヘモグロビン(hemoglobin:Hb)との化学的結合,です.
本来は酸素(O2)の拡散能力を測定したいところですが,肺毛細血管内の酸素分圧を求めることが困難であり,一酸化炭素(CO)を指標とした肺拡散能力(diffusing capacity of the lung for carbon monoxide:DLCO)が用いられています.その理由として,①COのHbに対する親和性がO2の210倍と極めて大きく,低濃度のCO(0.3%)を用いることで測定可能なこと,②COとHbの結合が強固なので,COが赤血球中に取り込まれても肺毛細管内のCO分圧を0と見なすことができ,DLCOの算出が容易であること,③O2とCOの物理的性質の相違から便宜的にDLCOを酸素の拡散能力(diffusing capacity of the lung for oxygen:DLO2)に換算可能なこと(DLO2=1.23×DLCO),の3つが挙げられます.
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