厚生だより
合成樹脂製食器等の衛生規制
I
pp.649-650
発行日 1966年11月15日
Published Date 1966/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203376
- 有料閲覧
- 文献概要
本年8月17日,主婦連合会は合成樹脂製の食器類について,ホルムアルデヒドの溶出試験結果を発表した。この試験成績は日刊紙やラジオ,テレビなどによって,全国に報道され,これらの食器類の多くがユリア樹脂から作られていたことから,ユリア樹脂が人体に対して危険であるとの印象を一般に与えるようになった。一方主婦連は,この試験結果をもって,厚生省および通産省に対してホルムアルデヒドを溶出するユリア樹脂の製造・販売を禁止すべきであると要望した。
ユリア樹脂は尿素とホルムアルデヒドを縮合することによってつくられ,食器類はある程度ホルムアルデヒドと尿素を縮合し,樹脂化したものを原料とし,これに機械的性質を強めるため,セルローズ,木粉などの充填剤を加え,一定温度(120〜150℃)で,一定時間(厚さによって異なり,一般に30秒〜5分間),一定の圧力(150〜600kg/cm3)を加えて成型する。ユリア樹脂は,この成型中にさらに高度の縮合が行なわれるため,一般にホルムアルデヒドの溶出量は,この成型条件に左右されるといわれている。従来から,食器類にユリア樹脂が広く使用されている大きな理由は,原料などが安く,従って安価に製造することができ,着色が容易で,比較的硬度が高いことであるが,一方水が浸透しやすいという大きな欠点をもっており,この欠点によってホルムアルデヒドの溶出が促進されるといえよう。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.