Japanese
English
症例
大静脈及び右心房異常を伴つた心房中缺損症の一例—特にHaecker氏法による循環遮断法の批判
A case of atrial septal defect with special anomalies of superior vena cava and right atrium.--Especially on the clinical comment of the method of circulatory cesseation by Haecker.
田口 一美
1
,
多胡 健吾
1
,
砂田 輝武
1
,
木本 哲夫
2
,
津田 昭次
2
Kazumi TAGUCHI
1
,
Kengo TAGO
1
,
Terutake SUNADA
1
,
Tetsuo KIMOTO
2
,
Shoji TSUDA
2
1岡山大学医学部津田外科教室
2岡山大学医学部病理学教室
1Tsuda's Surgical Dept., Okayama University Medical School
2Ⅰst Path. Dept., Okayama University Medical School
pp.507-512
発行日 1956年6月15日
Published Date 1956/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200386
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緒 言
近時心臓外科の進歩にともない種々の珍らしい心臓畸形が報告されている。吾々も随時かかる症例を報告して来たが,この様な症例報告は心臓外科の進歩に寄与する所が大きい。即ち術前の正確な診断,従つて手術手技の改良に役立ち,又病理組織学的所見より心臓外科に特殊な例えば人為冬眠,低体温法,脳冷却法等の病態生理を究明出来る。最近薬物冬眠下選択的脳冷却法によつて循環遮断を行い,直視下心房中隔欠損縫合術を施行したが,大静脈及び右心房腔異常という特殊な畸形合併のため,Haecker氏法によつて完全な循環遮断を行い得ず,Acethylchohne冠動脈内注入により心搏停止を招来せしめたにもかかわらず心腔内をdry fieldにする事が不可能であつたため,心房中隔欠損縫合術が完全に行い得ず,結局右心不全のため術後死亡した症例を経験した。本例の臨床的及び剖検的事項を精細に検討し,主として次の三つの点に就いて報告する。(1)上空静脈の左右分枝は種々の心臓崎形に合併してみられ,決して珍らしいものではないが,吾々の症例の様にこれに右心房が2腔に近い状態で合併した例はない。(2) Haecker氏法及び人工心細動下手術の様な循環遮断手技に対する批判,(3)病理組織学的検討特にかねてより吾々が提唱している人為冬眠下副腎皮質病変に対するCortisone及びDOCAの効果。
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