Japanese
English
症例
右心耳左側位を伴つた大血管完全転位症の1例
Complete Transposition of the Great Vessels with Levoposition of the Right Auricular Appendage. Report of a Case.
重田 政信
1
,
丸山 博
1
,
大国 真彥
1
Masanobu Shigeta
1
,
Hiroshi Maruyama
1
,
Masahiko Okuni
1
1東京大学医学部小児科学教室
1Department of Pediatrics, University of Tokyo.
pp.322-327
発行日 1960年4月15日
Published Date 1960/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200884
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I.緒言
大血管完全転位症(Complete Transposition of the Great Vessels)は諸外国においては近年多くの報告をみるようになり,先天性心疾患による死亡例中でFallot四徴に次ぐ大きな死因を占めるといわれ1)2),さらに剖検例では本症がFallot四徴より多いのではないか3)と考えられるに至つた。しかし本症の頻度は全先天性心疾患中1%4)〜9%5)と報告者により一致をみず,また本邦においては明治21年以来の55年間では4例の報告を数えるのみであつた6)というが,近年は次第に報告を増してきた7)−10)以前本症が比較的まれであると考えられた11)22)のは剖検上見逃されていた可能性があるといわれ3),本邦においても今後報告を増すことが想像される。
心耳側位(Lateroposition of the Atrial App—endage)は大血管転位症にまれに合併する奇形で近年次第に注目を集め,欧米においては18例の記載をみた12)というが本邦においては三枝等35)の1例があるに過ぎない。
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