講座
門脈系の検査
杉江 三郞
1
Subro SUGIE
1
1東京大学木本外科
1Department of Surgery Tokyo University School of Medicine
pp.679-686
発行日 1955年11月15日
Published Date 1955/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200298
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
(1)
肝臓は周知の通り門脈と肝動脈とから血液の供給をうけ,両者が合して肝静脈へ流出するという特殊な血行を示す臓器であるが,門脈の血量は正常であれば全流入血量の60〜70%をしめ,その圧は10mmHg (100〜150mm H2O)前後とされ,肝動脈の血量は従つて残り30〜40%をしめ,その圧は100〜130mm Hgであるとされている。この両者は勿論バランスの上に機能が営まれ,また相互に影響しあうことが注目されている。たとえば門脈血流を遮断すると肝動脈流入血量はおよそ50〜100%増加することが指摘されている(Hamilton1))。
肝臓,脾臓をふくめ門脈系に種々な病変がおこると,門脈系の血行および機能の上に種々な変動があらわれることは勿論であるが,さらにこれら重要器官の変化のため種々な程度の全身的な影響もあらわれることを見逃すわけにはゆかない。従つて門脈系の特殊検査のほかに,全身的な臨床諸検査もきわめて重要であることはいうまでもない。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.