特集 術後1週間の患者管理
門脈下大静脈系吻合術
磯松 俊夫
1
1北海道大学医学部第2外科
pp.585-589
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207669
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門脈下大静脈系吻合術(遠位脾腎静脈吻合術)の適応となる患者は,種々の程度の肝障害をもつており疾患別にいえば肝硬変症が最も多い.肝硬変症は代償性であれば,ある程度の侵襲にたえるが,肝予備力が低下しているので,あらゆる術後合併症の予防につとめなければならない.それらを要約するならば術当日および術後1日は,水分電解質バランスを主体に十分な循環血液量・心拍出量の確保と呼吸管理につとめ,組織anoxiaことに肝anoxiaを来たさないようにする.術後2日以降は栄養に主体をおいた輸液管理と腹水に対する処置である.遠位脾腎静脈吻合術は,術後およそ3日で経口摂取可能となるが,経口摂取不足の補充,術後肝機能改善のため補液は術後12.7±2.9(SD)日行なう.腹水,乏尿にはラシックス,エデクリールを使用し,低蛋白血症には新鮮凍結人血漿を1日500ml投与する.術後必要投与期間は11.6±4.5(SD)日であつた.
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